藤元健太郎のフロントライン・ドット・ジェーピー

2000年2月7日月曜日

日米格差

(2000年2月、米国版「Wired」の日本版「Hotwired Japan」で掲載されたコンテンツを編集しました)

これまで米国のビジネス雑誌のネット系の記事は我々にとっては最新情報の宝庫であり,WIREDも「米国は進んでいるなあ」と読む人が多いのも事実であろう。
しかしビジネスウィークの1/17号では面白い記事が載っていた。それはDoCoMoを特集で取り上げており,タイトルのバックには「ガングロ」「チャパツ」でたばこを吸いながら携帯をかける女の子の写真が使用されており,若年層がボタンひとつでネットを利用しているシーンは「AMAZING DoCoMo」に見えると書いている。すでに言われていることであるが,この6000万人が携帯・PHSを利用している状況は世界の中でも恐るべき状況であり(北欧や中国も凄いようであるが,中国はすでに7000万人普及という情報があり,さすが母数が違うという感じ・・・)何よりその普及もさることながら,買い換えサイクルの短さは突出している。確かにウォークマンもそうであったが,最新機種が出ると,壊れていないのにデザイン的に新しくしたくなったり,友達に自慢したかったりなどで買い換えてしまう。それがこの「imode」300万人突破というNIFTYが苦節10数年かけて集めた数をわずか一年で抜き去るという現象を起こしている。
まだ「マルチメディア」という言葉がちまたに溢れていた1993年頃は日本は米国に10年遅れていると言われていた。パソコンの普及率は恐ろしく格差があり,以下の図を見ていただければわかるが軒並み日本は10年遅れていると言われていた。そしてあれから5年以上経ち今ようやく状況に変化が見えてきている。98年に関して言えば以下のようなデータがある。すでに現在は2000年であり,この差はさらに縮まっているであろうが,パソコンはもはや出荷台数でテレビを追い抜き,完全に家電の領域に突入している。携帯電話は家庭用電話回線を追い抜きもっとも身近な電話となっている。

93年情報化比較      日本 米国
パソコン普及率      9.9% 41.7%
パソコン通信加入者数  195万人 420万人
携帯電話普及率      1.4% 4.4%

98年情報化比較      日本 米国
パソコン世帯普及率    32.6% 50%
インターネット人口普及率 13.4% 30%
携帯電話普及率      41.5% 29.6%
(出所)日本経済新聞

我々はもっと自信を持って良いと思う。まずゲームの分野だって日本の一人がちである。ソニックやマリオやクラッシュバンデグーが案内してくれるブラウザなんてわくわくする。たぶんそのブラウザは「セキュリティで保護されていないフォームを送信しようとしています。」なんて不安いっぱいのメッセージを出さないで「大丈夫かな?ちょっと確認してから出そうね!」ぐらいの気の利いたメッセージを出してくれることだろう。ゲームボーイやワンダースワンもネットに繋がるし,カーナビゲーションもデジタルテレビも日本が強い分野だ。
ビジネスモデルや社会システムとして見習うべきところがまだまだ多いのは事実であるが,日本から世界へ上陸していくネットビジネスがこれからたくさん出てきても不思議ではない状況はできていると考えられる。
そういえば私の会社は「.JP」とついている。そのうちシリコンバレーで「.JP」と書いたTシャツ流行るかも??