藤元健太郎のフロントライン・ドット・ジェーピー

2014年1月26日日曜日

東京の米軍基地問題


都知事選の話題にはならないだろうが,東京にも米軍基地問題がある。特に港区の米軍ヘリポートは返還予定のまま未返還で,港区議会でも常に話題になっている。そして私は当事者だ。ヘリポートからの直線距離でほんの3-400mメートルのところに住んでいるため,朝,夕の頻繁な離発着の爆音は聞こえるし,日本中でもヘリが墜落して巻き添えを食う可能性のかなり高いところに住んでいる。だからと言って私はただちに返還しろとは思わない。自分が米軍の立場だったらこんなに各地の米軍基地と都内の間の連絡に便利な場所は無い。明日日本人の身代わりに命を落とす可能性のある米軍のためにできることはしてあげるべきだと考えている。もしそれが嫌なら膨大な国家予算をつぎ込んで再軍備をし,外交で徹底的にリスクは排除するしかない。日本人は戦後水と安全はただで来てしまった。靖国参拝がいいか悪いかの議論よりも,本質的に日本の安全保障をどうするかのコンセンサスを作る事から目を背けては行けない時期が来ている。


六本木ヒルズの上から見た米軍ヘリポート

2014年1月23日木曜日

東京が都市間競争時代に勝つために-政策アイデア私案-

いよいよ都知事選。都民としてはいったん日本国のことは忘れて東京を考えたいと思います。
原発も大事だけどもっと東京のための政策を個人的に考えてみました。

まず目指すべきことは何か。これからの東京は世界中の都市と都市間競争しなければいけないわけで,大事な目標は

「都市間競争に勝つ」

ということにつきると思います。競争ですから差別化要因が必要です。
東京が世界に通用するもの,させなければいけないものは以下と仮定しました。
・食文化
・江戸文化
・切実な高齢化社会ソリューション
・防災

これを前提にした時の政策アイデアは以下です。

1)海外富裕層セカンドハウス誘致作戦
狙い:対内直接投資,インバウンド観光
まずは東京を手っ取り早くグローバル化しなければいけません。
そのために早い話が世界中の富裕層な人達に東京にセカンドハウスを作ってもらうということです。
一年のうち数ヶ月ぐらい東京に住んで,世界にほこる美味しい食べ物やおもてなしを体験してもらうということです。
大和撫子やイケメンショコラティエなどと当然仲良くなっていただく。
例えばベンチャー起業家がパーティで水原希子見たいな女の子と
「新しい事業の資金調達先探してんだよねー」
「私香港財閥の○○と超仲良いよ!彼東京来るといつも遊んでるの!今度紹介してあげる」
「マジ紹介よろしく」
となって最初からグローバルなビジネスがセットされます。
さらに当然その関係性の中で子供達も色々な形で産まれるでしょう。その子達は生まれながらにとてつもない人脈を有しているわけです。
富豪達は自分の子供など愛する人が住む東京に愛着がわかないわけがなく東京への投資はどんどん集まるというわけです。
実際ロンドンやニューヨークには中東やロシアの富豪などのセカンドハウスがたくさんあるようです。
東京は特にアジアの富豪のセカンドハウス優遇策やるべきです。

2)シニアシェアハウス推進
狙い:孤独死ゼロ
待機児童ゼロはすでに区レベルでも一生懸命やっています。一方激増しているのは孤独死です。
すでに高齢化社会に直面した都市として東京は独居老人を集合させた高齢者シェアハウスを積極的に増やしていくべきです。
毎日一緒に食事をする仲間こそが孤独死を減らします。
「うめさん最近食欲ないねー」
など身体の変調に周囲が気づきます。またシェアハウスにはエネルギー効率を高めたり,ネットスーパーでまとめて宅配したり,高性能な家電を入れられるなど周辺産業にとっても様々なメリットをもたらします。
シェアハウスへのリフォームや新築を優遇する措置を行い孤独死ゼロを目指すべきです。
そして高齢化社会のソリューションサービスを育成し,海外都市への輸出産業とするのです。

3)No1防災IT都市
狙い:IT産業育成,防災
必ず東京に地震は来ます。下手すると千葉のスロースリップは明日にでも首都圏に炸裂するかもしれません。防災は絶対必要です。
防災のための投資は都民の納得のいくところです。
そこで防災のためのセンサー,ロボットなどITインフラ投資を行います。そのインフラを活用した様々なサービスや取得できるオープンデータを活用した研究開発や新ビジネス育成を推進します。ただ漠然とベンチャー育成というよりは防災という安全保障のための重要な投資を有効に活かすべきです。
もちろんそこで生まれた技術やサービスは平時向けには新ビジネスとして花開くもよしでしょう。
世界最先端の防災都市を目指すことは東京の宿命とも言えます。それを武器とした産業育成をするべきなのです。

4)江戸職人認定制度
狙い:インバウンド観光,江戸文化の産業化,クールジャパン
東京観光がいつまでも雷門連れて行くだけでよいわけがありません。
かつてフランス上流階級をめろめろにした江戸文化はクールジャパンそのものです。そしてそれを支えるのはアーティスト,職人達です。
すでに区レベルで一部始まっていますが東京が世界にほこる江戸文化を観光や輸出産業として強化していくために江戸職人を認定し,支援していくプログラムを充実させるべきです。寿司職人のように世界レベルで通用するものを増やしていくべきです。
これからもてる男は官僚でも銀行マンでもありません。職人です!腕のよい職人は世界中の女性達の憧れのまととなるでしょう。
東京の草食男子達よ「しゃらくさい!」と見栄をはりましょう!

5)江戸城再建
狙い:インバウンド観光,江戸文化産業化
禁断の最終兵器です。江戸ルネッサンス作戦の最終目標は東京の中心にあります。
そのためにはまず天皇陛下に本来の都である京都の御所にお戻りになっていただきます(京都の観光のためにもベストです)
そして皇居に江戸城を再建し,江戸の街を復元した江戸文化集積地にします。先ほど育成した職人達が大活躍するのです。
世界中の観光客が一度行きたいと思える場所にします。現代の花魁道中に世界中はため息をつくことでしょう。
もちろん防災都市ですから災害時には10万人以上を一時的に避難させられる場所とします。

江戸ルネッサンスこそが東京が国際都市間競争を勝ち抜くための武器です。
さしさわりの無い政策になりがちな昨今。原発も大事ですがみんなのアイデアで東京にイノベーションとルネッサンスを!

2014年1月21日火曜日

facebookの若者離れ

#フェイスブック フェースブック、やはりアメリカのティーンの間で人気急落
この話題定期的に必ず出てくる。そもそも自分が17歳だったとして話題のクラブにかっこつけて出かけて行って,「Hey!」とドアをあけたら両親,親戚のおじさん,学校の先生がたくさんいたらそっとドア閉めて帰るだろう。大人達に隠れて狭い人間関係の中で濃密なコミュニケーションを行いたい世代にとってはアカウントは持っていてもコミュニケーションのメインツールにはならない。日本ではそこはLINEのグループが十分役割を果たしており,Twitterをそのつもりで使っていて炎上する若造が続出したのは記憶に新しいところ。でもいずれ自分が社会に出て,広い範囲で様々な深さの人間関係を構築していくとそうしたソーシャルグラフに適合したソーシャルメディアが必要になる。もちろん機能面でmixiの足跡の失敗のように致命的なミスをおかす可能性は十分ああるため,リスクを分散するためにも人間関係のソーシャルグラフのマネジメント機能とその上でのアプリケーションやサービス機能は分離した形で進化させていくことが大事だ。アプリはその時々の面白いものがたくさん出てくるがソーシャルグラフさえしっかり成長させていけばビジネスとしては成長の方法はいくらでもある。

2014年1月19日日曜日

セブンカフェのマシンインターフェイスの店舗の独自工夫に見る面白さ


セブンカフェのマシンの使い方がわかりにくいので各店舗が工夫をしている様子がNAVERでまとめられている。このセブンカフェの事例は色々な示唆を与えてくれると思う。私は以下の3つを感じた。

1)クールvsベタ
楽天の店舗のインターフェイスはベタだがCVRを求めるとああなる。クールさは一部で熱狂的に支持されたとしても日本中のマスをターゲットにしたビジネスにはベタさが必要。googleが日本ではyahooに勝てないのもそこはあるだろう。

2)カスタマイズデザインの未来
シンプルなiPhoneをカバーやデコで自分なりに創意工夫する日本人を考えるとシンプルデザイン+カスタマイズは今後の流れなのかも知れない。そうすると3Dプリンターはそうしたカスタマイズのための部品などを製作するインフラとしての凄い可能性を感じる。

3)現場改善力の高さ
どのコンビニよりも本部の指導が徹底してそうなセブンだがこうした現場の独自の創意工夫が働くところにやはり強さを見る。今では私的には各店舗毎にどんな工夫をしているのだろうと見るのもひとつの楽しみになっているくらいだ。

佐藤可士和さんがもしこの2),3)を考えて投入したとしたらやはり天才だ。

佐藤可士和さんのオリジナルデザイン
独自に工夫されているコーヒーマシン

2014年1月12日日曜日

地上波テレビ局におけるVOD戦略「もっとTV」

民放5社が協力し月額900円で多くの番組を見放題という「もっとTV」がスタートした。思えば2002年にフジ,テレ朝,TBSでトレソーラというサービスが実験を開始してから12年。やっといけそうなサービスにたどりついた感じがある長い時間だった。ただまだビジネスとしての迷いも感じる。テレビCMという大きなビジネスモデルを持っている地上波民放局にとって,これまでVODは既存コンテンツの二次利用活用のビジネスという考え方が強かったと思う。しかしYoutubeやニコ生などでリアルタイムな動画コンテンツが溢れている状況では,地上波の視聴率や価値を高めるための効果がネットにも求められている。実際ソーシャルメディアの分析をしているとテレビ番組やCMが元ネタの発信はとても多い。あまちゃんや半沢直樹の人気もソーシャルメディアが一定の役割を果たしていただろう。地上波コンテンツがさらに価値を高めるためにはソーシャルメディア上で流れてきたコンテンツからのリンクやそこからの検索のあと瞬時に動画コンテンツに飛べることが大事だ。もっと言えば動画の中の特定の場面にタグを打てることでさらに特定の場面を共有することが可能になりバイラルも盛り上がる。そもそも録画視聴が増えている状況では放送後1週間程度はいつでも無料でシェア可能なVODが地上波の価値を高めることが必要ではないだろうか。一方で権利の問題はあるものの過去の膨大な番組やCMコンテンツを検索から見ることができる価値は有料コンテンツとして新しい二次利用収入モデルの可能性も十分にあるだろう。これも番組の中の特定の場面にタグを打てれば検索性がとても高くなる。まとめサイトなどが利用料をまとめて払い,エンドユーザーは無料というモデルも模索する段階に来ているのではないだろうか。日本の地上波テレビは終わったという人も多いが人々がネタ消費を求めている現在,まだまだ豊富なネタを作り続ける地上波テレビは稼ぐことが可能だと私は考える。既存モデルの強さ故に長きに渡り変革を拒んできた業界だと思うがもっとTVのようなモデルの登場はようやく変化することを許容し始めたと言えるのかもしれない。

2014年1月7日火曜日

セブン&アイが冷蔵庫を作る日

LGとLINEが提携してスマート家電を作る発表をした。確かに面白い動きではある。しかし,所詮は冷蔵庫をインテリジェントにした程度の話で過去20年ぐらい語られてきたレベルだろう。我々がこれから起こさなければいけないイノベーションは冷蔵庫の役割そのものだ。「自分で買ってきてしまう」という行為を前提にした冷蔵庫ではどんなにインテリジェント化しても限界がある。しかし「誰かが運んで来て納品してくれる」冷蔵庫になった途端に景色は変わる。ネットで注文してから冷蔵庫に納入されるまでのデータが揃えば今冷蔵庫に何があるかが簡単にわかる。次の注文までのタイミングで消費期間データも蓄積される。この冷蔵庫は後ろから納入するため,廊下面に設置されるかもしくは共同の大型冷蔵庫になるだろう。部屋の間取りからして変わる。そして中心的なプレーヤーはメーカーでもネット事業者でも無く,やはりセブン&アイのような事業者になる。セブン&アイが目指すオムニチャネルの最終形は家の中の冷蔵庫になるだろう。冷蔵庫を開けると自動的にセブンゴールドのPB商品がずらりと並んでいる世界は圧倒的な競争力だ。夢物語のように聞こえるかもしれないが新築マンションやシェアハウスにネットスーパー機能をつければすぐにでも実現できる世界だ。二次産業のメーカーと三次産業の小売りと四次産業の行動データの流通事業者の連携こそが生活のイノベーションを産み出す。O2Oとオムニチャネルの次にある世界がそこにある。そして家電メーカー復活のヒントもここにある。