藤元健太郎のフロントライン・ドット・ジェーピー

2014年6月10日火曜日

SIMの呪縛から解き放たれる端末達

速報:ドコモが「ポータブルSIM」開発、SIM抜差し不要で複数スマホ利用可。かざして認証


ようやくSIMと端末を切り離して使える機能が登場しそうだ。これにより,ユーザーは様々な端末を自分のものとして使えるようになる。まさにユビキタスのコンセプトを実現するためにもっと早く出てくるべきサービスだったと言えるだろう。まずこれが出てくると端末開発の考え方が変わる。今は一台しか持てないと考える人が多いので,購入する方が一番無難で最大公約数な端末を選ぶしかない。結果的に売れ筋で無難な性能のものが一番売れることになる。しかし,複数の端末を自由に切り替えて使うことができるなら,アウトドア用のスーパータフ,パーティ用のラグジュアリー,ドライブ用の大型液晶端末と特定用途に応じてエッジの立ちまくった端末も購入できるため,色々特徴的で挑戦的な端末が出てくることになる。日本のガラケー的なものも一台持っておくかという発想にもなりやすい。端末の売り方も二年縛りではない売り方も増えるはずで,自動車とセットとか,アクセサリーとしてブランド品として販売されるようなものも出てくるだろう。現在グーグルが準備している「Project Ara」のようにパーツをブロックのようにすることで機能アップできるようにすれば,様々な端末を自分でカスタマイズする楽しみも出てくる。いずれにしてもIoT時代に無難とは縁遠い自由な発想でぶっとんだ端末の可能性が出てきたことは楽しみだ。

旅行収支44年ぶり黒字 成熟国家への転換

旅行収支44年ぶり黒字 4月、訪日外国人が急増



旅行収支がオリンピックよりもはるか前にまさかの黒字。一方で貿易収支の赤字は慢性化しており,原発停止によるエネルギー輸入の増加要因はあるものの,すでに家電輸出の落ち込み,電子部品の輸入など構造的な貿易収支の赤字が定着しており,日本は典型的な成熟国家になりつつあると言える。ますます日本人の生き方やライフスタイルそのものを魅力的なものとして世界の中で付加価値を持たなければ行けない時代になりつつある。そのためには日本人一人一人が毎日人生を楽しんでいることが何より大事。毎日自殺したいと思っているような国民が多い国に旅行に行きたいとは思わないし,そんな国民の生み出したブランドのプロダクトに高いお金を払わないだろう。旅行収支の黒字は「日本はよくわからないけど日本製は安くて性能がよい」から「あの日本人の生活が素敵だから買いたい,訪れてみたい」への転換が確実なものになったということだろう。それはつまりSONYやHONDAのような謎の無国籍企業中心で戦う時代は終わり,旅館を世界に展開したり,LVMHグループのようなライフスタイルの付加価値で勝負する企業が出てくる必要があるということなのだろう。

2014年6月6日金曜日

自律行動型ガジェットとして増殖していくロボット社会


ソフトバンクがロボット事業を発表した。ただ人型でしゃべる接客タイプだったこともあり,どこかで見たデジャブ感があったのも事実だろう。しかし,これまでのASIMOのような見せ物としてのロボットから,我々と一緒に社会生活の一部として働くロボットが増加する流れは間違い無い。新興国では人件費が高騰する中無人のロボット工場が次々と作られている。ロールスロイスは無人のドローン輸送船を開発中だ。自動車も貨物輸送システムとして無人車両が増えるだろう。すでに戦場に送り込まれる兵器は次々と無人兵器になっている。街中の安全の見守りや清掃ロボットなども出てくるだろう。センサーで状況を把握し,通信で周辺のデバイスと協調しながら自律的に動く端末をロボットとするなら,スマホの延長線のようなロボットもどんどん増えてくる。子供がプログラミングしてスマホをロボットにして遊ぶRomo(http://www.romotive.jp/)もまもなく日本で発売されるが,これも立派なロボットだ。
街中で不審な動きをしていると「ペッパー警部」に注意される日もすぐそこかもしれない。