藤元健太郎のフロントライン・ドット・ジェーピー

2011年4月28日木曜日

世界一の防災技術立国への挑戦

日本は安全で安心な国であり,そこが国際競争力でもある。これまでは誰もがそう思っていただろう。
しかし,今回の震災でそのイメージは崩れ去り,日本は今では危ない国と世界から思われているのが実状である。
原発の問題は特別だと考えたい部分もあるが,冷静に考えれば阪神大震災からまだ15年。15年に一度は大震災という名前の地震が起こっており,そこそこの地震や台風は毎年やってくる国である。やはり日本にとっては防災は国家安全保障上の重要テーマであることを再認識せざるおえない。戦争は人間の手によって防ぐことを日本は世界に宣言しているが,自然災害は防ぐことのできない敵であり,今後30年のスパンで見ればほぼ100%どこかで大きな
地震は日本を確実に攻めてくる。
だとすると日本が戦後平和国家を目指したように,今後世界一の防災技術国家を目指すというビジョンを掲げることもありだろう。
米国の軍事予算は莫大であるが,中でも軍事研究開発予算だけで7兆円ある。日本は軍事予算全部で5兆円ぐらいであるから,その大きさがわかる。その軍事研究開発は多くのハイテク研究がされており,多くのIT関連技術もそこから派生してきたものも多い。
有名な話であるがインターネットのTCP/IPの研究は軍事の研究開発から生まれている。同様に日本は軍事ではなく防災に関する研究開発に国をあげて取り組んではどうだろうか。今回の災害でも原子炉や救援のための無人ロボットや各種センサー,パンクしない通信技術,避難所での容易な安否確認や最適化されたロジスティックスなどあったらいいながたくさんでてきている。特にITの分野はこうした基礎研究が一般生活者向けの製品や企業のイノベーションに貢献できる余地は大きいはずである。日本が世界一の防災技術大国であれば,世界で今後おきるだろう災害に対しても大きな国際貢献が可能になり,重要な輸出産業にもなるだろう。環境立国も大事ではあると思うがCO2削減だけで原子力を選択することへの大きな問題提起もされた。これからは災害に強く,かつ環境貢献ができるような地域分散型のエネルギーマネジメントモデルを考えなければ行けない。
戦後最大の敵に襲われた日本ではあるが,次に敵が来る前に今度こそはもっと戦えるテクノロジーを備えるべきだろう。